日経平均と連動しやすい銘柄は?ベータ値・相関係数から探る注目企業リスト

日経平均と連動しやすい銘柄を把握することで、市場全体の流れを効率的に捉えることができます。
特定の銘柄がどれだけ指数と同じ動きをするかを知ることは、投資判断やリスク管理にも有効です。
本記事では、ベータ値や相関係数といった指標をもとに、日経平均との連動性が高い企業を紹介します。指数に近い値動きを狙うインデックス投資家から、短期の売買機会を探るアクティブトレーダーまで、幅広い投資家にとって参考となる内容です。
日経平均に連動しやすい銘柄には、いくつかの共通点があります。構成比が高い企業や、輸出・テクノロジー系の銘柄は、指数と強く連動しやすい傾向があります。
以下は、2025年時点で注目される連動性の高い企業です。
・ ファーストリテイリング(小売・高構成比)
・ソフトバンクグループ(情報通信・高ボラティリティ)
・ファナック(機械・安定連動)
・東京エレクトロン(半導体・高ベータ)
・ダイキン工業(機械・為替敏感)
短期トレード向きの銘柄から、安定志向の企業まで幅広く含まれています。
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ユニクロを展開するファーストリテイリングは、日経平均株価指数で構成比トップ(寄与度約11%)を占める銘柄です。株価のベータ値はほぼ1と高く、市場指数と連動した値動きをしやすい傾向があります。
同社の業績は好調で、2024年8月期通期は売上収益3兆1038億円(前年比+12.2%)、営業利益5009億円(+31.4%)と、いずれも過去最高を記録しました。
国内ユニクロ事業はインバウンド需要やコスト改善で利益を伸ばしました。
一方、海外ユニクロ事業も各地域で二桁成長を遂げています。 現在、海外売上比率は約60%に達し、アジアを中心としたグローバル展開が業績を牽引しています。中国市場では店舗再編など構造改革を進めており、北米・欧州でも堅調な成長を実現しています。
こうした国内外の事業動向は株価にも反映されます。たとえ好決算でも、市場予想とのギャップ次第では株価が大きく変動する局面も見られます。
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ソフトバンクグループは、日経平均構成比が約4%と高く、指数への影響力が大きい銘柄です。
株価のベータ値は1を上回り、市場全体への感応度も高い傾向にあります。
2025年3月期第3四半期の決算では、売上高が5兆3,026億円(前年同期比+6.0%)、親会社株主に帰属する四半期利益は1兆576億円と大幅な増益を記録しました。
特に投資事業が好調で、アリババ株やTモバイル株の売却益などを含め、持株会社投資事業の投資利益は2兆85億円に上りました。 また、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業からも2,608億円の投資利益を計上しています。
市場や為替の影響を受けやすい一方で、短期的な値動きが大きいため、アクティブ投資家にとっては日経平均連動型の注目銘柄といえます。
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ファナックは、CNC装置や産業用ロボットを手がける工作機械メーカーです。日経平均の構成銘柄の一つであり、製造業全体の地合いを反映しやすい銘柄です。
2024年度第3四半期は、売上高5,850億円、純利益1,028億円となり、前年同期比で減収減益でした。
地域別では、中国の売上高が前年同期比28.5%増と好調でしたが、欧州・米州では減収となりました。セグメント別ではFA部門やロボマシン部門が増収を維持し、ロボット部門はやや調整局面にあります。
同社は、生涯保守体制や高い信頼性で知られ、設備投資サイクルに連動する傾向が強いです。
日経平均との相関も高く、景気敏感株の一角として注目されています。
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東京エレクトロンは、半導体製造装置の開発・製造を手掛ける企業で、日経平均株価の構成銘柄の一つです。同社の株価は、半導体市場の動向や技術革新の進展に敏感に反応し、日経平均株価との連動性が高い傾向があります。
2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高1兆7,700億円(前年同期比+38.4%)、営業利益5,100億円と、増収増益を達成しました。特に、メモリ向け製品の需要増加が業績を牽引しています。
同社は、研究開発費を前年同期比15%増の1,800億円に拡大し、最先端技術の開発を積極的に推進しています。また、IoTやAIの普及に伴うデータ社会の進展により、半導体製造装置市場のさらなる拡大を見込んでいます。
東京エレクトロンの株価は、半導体市場の動向や技術革新の進展に敏感に反応するため、日経平均株価との連動性が高く、投資家にとって注目すべき銘柄の一つです。
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ダイキン工業は、空調機器の製造・販売で世界的に知られる企業です。同社の株価は日経平均株価と高い連動性を示し、投資家から注目されています。
2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高3兆5,932億円(前年同期比+10.1%)、営業利益3,187億円(同+4.0%)と、増収増益を達成しました。 特に、アジア地域での販売拡大が業績を牽引しています。
同社は、環境負荷低減を目指した製品開発や、IoT技術を活用したサービス提供に注力しています。また、研究開発費を前年同期比で増加させ、最先端技術の開発を積極的に推進しています。
ダイキン工業の株価は、空調市場の動向や技術革新の進展に敏感に反応する傾向があります。そのため、日経平均株価との連動性が高く、投資家にとって重要な銘柄の一つといえます。
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日経平均株価は、国内主要企業225社の株価から構成される指標です。構成は価格加重平均で、株価の高い銘柄ほど指数に与える影響が大きくなります。
このため、日経平均と連動しやすい銘柄を押さえることで、市場全体の値動きを効率的に捉えることができます。 特に指数の寄与度が高い企業は、日経平均の上下に直接関わります。
また、こうした銘柄はインデックス運用に組み込まれやすく、需給面でも注目されやすい特徴があります。 短期トレーダーにとってはタイミング判断の参考になり、ファンド運用者にとってはリスク管理の一助となります。
日経平均との連動性を分析する際に、有効な定量指標が2つあります。それが「ベータ値」と「相関係数」です。
ベータ値は、個別株が市場全体と比べてどの程度動くかを示します。日経平均を基準値1とし、それより大きければ変動が大きいと判断されます。たとえばベータ値1.5であれば、指数が2%動いたときに3%動く可能性があることを意味します。
一方、相関係数は、日経平均とどれだけ同じ方向に動くかを測る指標です。値は−1から+1の間で変動し、+ 1に近いほど連動性が高いとされます。
ベータ値は値幅の大きさを、相関係数は方向性の一致度を表します。
それぞれの性質を理解しておくことで、目的に応じた銘柄選定に役立てることができます。
たとえば、短期売買ではベータ値が高い銘柄が注目されやすく、一方で市場全体の動きを掴むなら、相関係数が高い銘柄が参考になります。
以下に、主要な銘柄のベータ値と相関係数を示します。
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日経平均と連動性の高い銘柄は、さまざまな投資戦略に応用できます。
まず、構成比の高い銘柄を複数組み合わせれば、日経平均に近い動きを再現する「擬似インデックス投資」が可能です。ファーストリテイリングや東京エレクトロンなどの大型株が代表例です。
短期トレードにおいては、ベータ値の高い銘柄が活躍します。たとえば、ソフトバンクグループは値動きが大きく、指数に対する感応度も高いため、日経平均の動きと連動しやすい場面が多く見られます。
一方、相関係数が高い銘柄を利用すれば、ペアトレード戦略などに展開できます。ファナックやダイキン工業のような銘柄は、方向性の一致が比較的安定しており、市場の全体感を反映しやすいです。
それぞれの戦略ごとに代表的な銘柄を整理すると、以下の通りです。
・擬似インデックス:ファーストリテイリング、東京エレクトロン
・短期トレード:ソフトバンクグループ
・ペアトレード:ファナック、ダイキン工業
市場の環境や目的に応じて、柔軟に活用することがカギとなります。
日経平均と連動しやすい銘柄にも、注意すべき点があります。
まず、連動性は固定ではなく、市場環境によって変化します。たとえば、企業の決算内容や業績見通しが変われば、個別株の値動きは指数から乖離することがあります。
また、為替や金利の変動、地政学リスクといった外部要因も影響します。
さらに、日経平均の構成ルールそのものも変化しています。2024年には、指数への偏りを是正するため、1銘柄あたりの寄与度に上限が設けられました。 その結果、構成比が高かった銘柄の影響力が一時的に低下するケースもあります。
今後の展望としては、構成銘柄の入れ替えや、成長企業の新規採用もあり得ます。その動きによって、連動性の高い注目銘柄も変化していく可能性があります。
過去の連動実績だけで判断せず、直近の市場動向や構成ルールの変化をふまえて、柔軟に見直す視点が求められます。